最適なCMSを選ぶために、WordPressの強みと課題を知る

WordPressは世界中で広く利用されているCMSですが、すべてのWebサイトに適しているわけではありません。では、どのような場面でWordPressを採用するのが適切なのか、技術者やディレクターの視点から考察します。

本記事では、インストール型のWordPress(WordPress.org版)を前提としており、WordPress.comのようなサービス型の提供形態については触れません。

目次

WordPressでの不安を今すぐ解消!

WordPressやWebに関する問題解決をプロがサポートします。

安心してWebサイトが運用できるよう、調査からご提案、実対策まで行います。
お気軽にご相談ください。


1. インストール型CMSのメリット

1-1. データを自己管理・自社管理できる

  • SaaS型CMSやブログサービスでは、サービスが終了するとデータ移行に制約が生じる。
  • WordPressなどのインストール型CMSなら、レンタルサーバー・クラウド・VPSなどに構築し、自由に管理・移行が可能。
  • サーバー環境を選ばないため、閉じた社内ネットワークなど特殊な環境でも利用できる。
  • 企業のガバナンスやセキュリティポリシーに合わせたカスタマイズが可能。

1-2. レンタルサーバーでの運用が容易

  • WordPressはLAMP環境(Linux, Apache, MySQL, PHP)で動作し、対応するホスティングサービスが豊富。
  • 「簡単インストール」機能を提供しているレンタルサーバーが多く、初心者でも環境構築が容易。
  • 他のLAMP環境向けCMSもあるが、WordPressの普及度は圧倒的に高い。
  • 低コストでサイトを運用できるため、小規模から中規模のサイトに向いている。

2. WordPressを選ぶ具体的な理由

2-1. 圧倒的な情報量とユーザー数

  • WordPressは世界的に利用者が多く、公式ドキュメント・フォーラム・技術ブログなどの情報が豊富。
  • トラブルシューティングの際にも、解決策を見つけやすい。
  • 多くの開発者・制作者が関わっているため、運用や保守を委託しやすい。
  • 日本語の情報が充実しており、初心者でも学習しやすい環境が整っている。

2-2. モダンな技術の採用が難しいプロジェクトに最適

  • 最新技術(ヘッドレスCMS、Jamstack等)を活用することも可能だが、技術者の確保が難しく、コストも高くなりがち。
  • 中小企業のコーポレートサイトやサービスサイトでは、高度な技術を採用する必要がないケースが多い。
  • WordPressなら、適切なテーマ・プラグインを活用しながら効率的にサイト構築が可能。
  • 制作会社やフリーランスの間でも標準的なスキルセットとして広く利用されている。

2-3. 継続的な技術進化

  • WordPress自体が進化し続けており、PHP・MySQLの進化とともにパフォーマンスも向上。
  • 高速化技術(キャッシュ機能、最適化プラグイン)の充実により、昔よりも快適な運用が可能。
  • REST APIの導入により、外部システムとの連携が容易になっている。
  • ブロックエディタ(Gutenberg)の進化により、ノーコードでのページ編集が強化されている。

3. 他のインストール型CMSとの比較

3-1. 他のCMSとの違い

  • 情報量・ユーザー数:WordPressは他のCMSと比べて圧倒的に多くのユーザーに支えられている。
  • 管理画面の習熟度:多くの制作者がWordPressの管理画面を理解しているため、導入後の運用が容易。
  • カスタマイズの柔軟性:有料・無料のテーマやプラグインの種類が豊富で、カスタマイズの選択肢が多い。
  • 拡張性:Eコマース、会員サイト、LP、メディアサイトなど、多様な用途に対応可能。

3-2. 他の選択肢

  • Concrete CMS(ブロックエディタによる直感的な操作が可能)
  • a-blog CMS(有料だが、国産CMSで高機能)
  • ヘッドレスCMS(コンテンツ管理とフロントエンドを分離する構成)

プロジェクトの要件に応じて、最適なCMSを選定することが重要。
そのほかサービスに関しては別投稿でまとめてありますので、気になる方はそちらもご覧ください。


4. WordPressの限界と注意点

4-1. すべてのサイトに適しているわけではない

  • 更新頻度が低く、運用負担を抑えたい場合はSaaS型サービスの方が適切なこともある。
  • Webアプリケーションのような動的な要素が多い場合は、別の技術スタックを検討すべき。
  • セキュリティ面では適切なメンテナンスが必要であり、放置すると脆弱性のリスクが高まる。

4-2. 「なんでもWordPress」は避けるべき

  • 要件に応じた適切な技術選定をしないと、運用コストが上がる。
  • 例えば、単純なLPや静的ページだけであれば、静的サイトジェネレーター(Hugo、Eleventy)などの方が適している場合も。

これに関してはzennのほうにも書いています。


5. まとめ

WordPressは、長年にわたり進化を続けてきた柔軟性の高いCMSです。

  • 情報量・エコシステムの充実により、初心者からプロフェッショナルまで幅広いユーザーが活用できる。
  • 日本語対応の安定性があり、国内の利用環境にも適している。
  • 広い技術者層の確保により、運用・カスタマイズを委託しやすく、長期的な活用が可能。

また、拡張性の高さを活かし、シンプルなサイトから大規模なプロジェクトまで幅広い用途で活用できるのも魅力です。

AI技術の発展やクラウドCMSの台頭により、今後のWebサイトのあり方は変化していくでしょう。しかし、WordPressは柔軟に適応しながら進化を続けており、その立場がすぐに揺らぐことはありません。

これからも、多くのWebサイトにとって、WordPressは最適な選択肢のひとつであり続けるでしょう。

関連サービス